EV・PHVを知ろう EV・PHVの基礎知識や魅力を解説します

EV・PHVの課題

当研究会では、アンケート調査を通じてEVの課題を調査してきました。その結果、以下の4つの課題が浮かび上がってきました。

  • 価格が高い
  • 1回の充電で走行できる距離が短い
  • 充電に時間がかかる
  • 外出先で充電できる場所が少ない

アンケート調査の結果の詳細は、特集ページ「アンケート調査結果」をご覧ください。

これらの課題は、「価格と走行可能距離の問題」と「充電環境の問題」の2点にまとめることが出来ます。

価格と走行可能距離の問題

EVの普及を妨げている大きな要因はその価格の高さにあります。

同格のエンジン自動車に比べて、1.5~2倍の価格になってしまっています。補助金や減免税を合わせても、まだまだ高いと感じる価格です。

その主な原因は、車両価格の半分近くを占めると言われるバッテリーのコストにあります。

価格は航続距離に比例する

バッテリーの容量を増やせば航続距離(一充電走行距離)は長くなります。その代わり価格も比例して高くなります。
三菱自動車は2011年の夏に、航続距離を短くすることで価格を下げた新モデルのi-MiEVを発売しました。 このMグレードは航続距離を120km(JC08モード)と短くすることでバッテリー搭載量を減らし、価格を260万円に抑えています。クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金を利用すると188万円から購入できます。
またその後、三菱自動車より初のEV軽商用車として発売されたMINICAB-MiEVにも走行距離の異なる2つのグレードが用意されています。航続距離が100km(JC08モード)のグレードでは、補助金を利用すると173万円から購入できます。

もちろん、120kmまたは100kmという航続距離は短いと感じる方は多いと思います。
しかし、三菱自動車が実施した全国のドライバーアンケート調査によると、「平日1日に走行する平均距離は、約90%の方が40km未満でした。また休日でも約80%の方が60km未満という結果が出ています」とのことです。
この結果からは、利用用途によっては現行の航続距離でも利用可能だと考えることができます。

しかしながら、航続距離が長い方が安心して運転することができますし、冬期の航続距離の問題もあります。航続距離の延長と車両価格の低下は、EVの普及に向けて重要な課題となっています。

参考情報:
iMiEVのMグレード(三菱自動車)

充電環境の問題

この問題は、

  • 充電に時間がかかる
  • 外出先で充電できる場所が少ない

の2点で構成されます。

充電に時間がかかる

EV・PHVの充電に要する時間は、車種ごとに以下のようになっています。

EV・PHV車種別の充電時間
車種 急速充電
(チャデモ方式、50kW出力)
普通充電
(AC200V)
日産 リーフ 約30分(80%充電) 約8時間(満充電)
三菱 i-MiEV 約30分(80%充電) 約7時間(満充電)
三菱 i-MiEV G 約30分(80%充電) 約7時間(満充電)
三菱 i-MiEV M 約15分(80%充電) 約4.5時間(満充電)
三菱ミニキャブ・ミーブ CD(16.0kWh) 約30分(80%充電) 約7時間(満充電)
三菱 ミニキャブ・ミーブCD(10.5kWh) 約15分(80%充電) 約4.5時間(満充電)
トヨタ プリウスPHV 約90分(満充電)

※メーカーHPより

EVの場合、駆動用バッテリーの容量によりますが、普通充電で約4.5~8時間と、急速充電でも約15~30分を要します。また、PHVでは普通充電(AC200V)で約90分を要し、EV・PHV共に給油に要する時間と比べると長い時間が必要になります。

ただし、EV・PHV共に基本的な充電方法は、「自宅で夜間寝ている間に充電」になりますので、その意味では自宅での普通充電に関しては、充電時間はそれほど大きな問題にはならないと考えられます。

一方で、外出先の充電に関しては、エンジン自動車と比べて著しく利便性が低下することが懸念されます。また、充電中の時間の使い方や先に充電器の利用者がいる場合の待ち時間の過ごし方などが課題になると考えられます。

外出先で充電できる場所が少ない

現在、EV・PHVを購入したユーザーに対して家庭用の普通充電器の普及を進めると共に、自動車ディーラーを中心とした外部の急速・普通充電器の設置が進んでいます。

しかしながら、北海道における充電施設の設置状況(当研究会「北海道内のEV充電器」を参照)を見ると、充電施設の空白エリアが存在するのが現状です。

外部の充電施設の設置がなかなか進まない要因としては、充電施設の設置及び運用コストとその費用の回収の難しさがあります。

なお、外出先の充電施設の普及に向けては、急速充電器単独で電気需給契約の締結が可能となるよう特例規定が設けられたり、充電施設利用に関する課金システムの実証実験が行われています。また、充電ケーブルを使わない非接触充電(ワイヤレス充電)に関する研究もおこなわれています。

PHVに関しては、ガソリンを利用したHV走行が可能なため、充電環境の問題の影響は小さいと考えられます。

参考情報:
電気自動車専用急速充電設備に関する特例規定の認可・承認について北海道電力
トヨタ、EV、PHVのワイヤレス充電の実用化に向けた技術提携(Car Watch)
三菱自動車、米ワイトリシティ、IHIと非接触充電に関する研究開発に合意(Car Watch)
日産、EV用非接触充電システムを公開(Car Watch)